傾きの許容範囲とは?
国土交通省によると、床の傾きの許容範囲の1つの目安として3/1,000未満という基準が提示されています。これを角度に換算すると0.17度で、0.17度というとたいしたことのない数字に思えますが、例えば1m離れると3mmの高低差が生まれる角度です。この段階では自覚症状はないとされていますが、これが5/1,000になると角度は0.23度となり、傾斜に関する自覚症状が発生し始めます。
「健康被害だけじゃない!床の傾きが企業に与える影響とは?」でもご紹介しましたが、6/1,000、すなわち0.34度を超えると健康障害が発生し始めます。めまいや頭痛、牽引感、フラフラ感、吐き気、食欲不振、睡眠障害など、無視できない症状が出てきます。
床の傾きは角度によってこうした深刻な事態を生み出しますが、上記でも「1つの目安」としたように、身体の不調やそこに置いたものが転がる、壊れるなどの不具合が生じるかどうかが危険発生のサインだと思っておけばいいでしょう。
数値だけでは測れない?
上記にあくまで「体感」や「物理的現象」を目安とすべきとしましたが、3/1,000前後の傾きの場合は、その場所で何をするかやどんなものが置いてあるかなどによっても人体への影響は変わってきます。あまりにも神経質になりすぎてすべての床を水平器で測り、その数値を見てから体調が悪くなったという例もあるようなので、気にしすぎは逆効果だと言えるでしょう。
もちろん、ひどい健康障害を起こるまで放置すべきという話ではありません。特に何も不都合や不具合、不調などが発生していない段階で数値だけを信じるというのはあまりおすすめできないということです。
機械的に計測した数値を信じるよりも、その場で生活する人、働く人の様子に注意すべきです。特に企業は社員の健康を守るため、定期的にヒアリングを行って異変にいち早く気づくようなシステムを構築しておくことが必要だと思います。
自分で傾きを調べる方法
さて、どうにも体感的に異変があると感じたときに、まず自分で傾きを調べてみる方法をいくつかご紹介します。
水平器
水平器は計測したい床に置くだけで水平状態が確認できるとてもお手軽な機械です。気泡の位置によって傾きが確認できますが、正確な数値は測れません。ホームセンターやアマゾン、ダイソーなどでも手に入れることができます。
計測アプリ
スマホにダウンロードして起動するだけであらゆる場所の傾きを計測することができるアプリがあります。水平器と違って傾斜角が表示されるのでより具体的な情報を得ることができます。Android用もiPhone用もいろんな種類が出ていますので、スマホを持っている人なら簡単に利用できます。
上記に2つの手軽な傾きを調べる方法をご紹介しましたが、いずれもあくまで入り口としての情報を得るための手段です。こうした手段で気になる結果が出たら、業者に依頼してレベル計測器を使って正確に計ってもらい、その結果に基づいて対策を講じるようにしましょう。